2022.12月号vol.93

年末のご挨拶

2022年も終わりを迎えようとし、今年最後の「栄machi通信」となります。

2015年4月の開院から毎月発刊で始めた栄machi通信も、来年には100号に到達することができます。

栄machi通信をスタートさせるときには、毎月作成することや、お渡しの際に受け取りを断られることなどへの不安もありましたが、皆さんからの感想の声を頂けたことで発刊を続けることが出来ました。

今年は、新型コロナウイルスのほかにも、暗いニュースが多かった1年だったと思いますが、皆様にとってどのような年だったでしょうか?

当院は、今年4月にで開院7周年を迎えることができました。

来年も、患者様が笑顔で通院できる歯科医院を目指し、皆様の健康に寄り添う診療に取り組んでいきます。

来年は、少しでも明るいニュースと笑顔が多くなることを願います。

2022.12月号vol.93

放置できない無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、いびきの原因である舌の沈み込みより、睡眠時の呼吸が低下・停止する病気です。

一般的に、肥満の方が睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと思われがちですが、実は日本人は欧米人に比べて骨格が小さく睡眠時無呼吸のリスクが高いとされています。

睡眠時無呼吸症候群の恐ろしさは、本人は寝ていて気づかないことにあり、日本人の潜在患者数は300万人以上と推測されています。

睡眠時無呼吸によって、日中の眠気を引き起こし、交通事故(実際死亡例もあり)に繋がったり、高血圧や糖尿病などの重症化にも影響してくると言われています。

いびきを指摘されたことがある方や、睡眠時無呼吸症候群の疑いがある方は、耳鼻科など専門診療所で受診することをおすすめします。

当院では、無呼吸症候群の診断を受け紹介状をお持ちの方に、睡眠時の気道の確保をすることで、いびきの予防・改善に効果がある『マウスピース(保険適用)』を作製しています。

いびきや睡眠時無呼吸症候群については、当院スタッフまでお気軽にお尋ね下さい。

2022.12月号vol.93

歴史のお話 武田信玄

風林火山の軍旗を掲げ戦国最強とも言われる軍を率いた武田信玄は有名な武将の1人です。

上杉謙信との川中島の合戦など武力派のイメージが強い武田信玄ですが、実は政治家としても優れた手腕を発揮していたことをご存知でしょうか?

今回は、武田信玄の戦(いくさ)ではなく、その優れた政治力をご紹介したいと思います。

信玄は、甲州法度次第(こうしゅうはっとのしだい)という分国法を制定し、税金や日常生活での禁止事項をつくり、この法のもとでは信玄自身も裁かれる仕組みをつくりました。

また、氾濫の多い川の対策にも力を入れ、25年の歳月をかけて堤防を築くほか、金貨の製造・流通、街道の整備、特産品の生産にも取り組みました。

武将として取り上げられることが多い武田信玄ですが、強く豊かな国づくりにも高い能力を発揮していたようです。

2022.11月号vol.92

治療ができず抜歯になる歯根破折

歯が割れてしまったり、欠けてしまったという経験をされたことはありますか?

硬いものを噛んだり、何かにぶつかった衝撃などで、歯が割れる・折れる・欠けることを歯冠破折(しかんはせつ)と言います。

歯冠破折とは別に「歯根破折(しこんはせつ)」というケースもあり、これら破折は、3番目に多い歯を失う原因でもあります。

歯根破折は、歯の根にヒビが入ってしまったり、割れてしまった状態になっており、多くの場合は、抜歯(歯を抜く)治療になってしまいます。

通常、歯の根は歯ぐきに覆われており、肉眼で歯根破折を見つけることは難しいため「歯が痛む」など、むし歯と思って受診して「歯根破折」と診断されることも多くあります。

歯冠破折と違い、治療が難しく、歯を抜くことになる歯根破折から、歯を守っていくことが重要です。

では、どのような歯が歯根破折リスクが高いのでしょう。

歯根破折のリスクが最も高い歯は、神経を失っている歯です。

ご存知のように、神経には痛みや温度を伝える役割がありますが、歯の中には神経と共に血管も通っており、その血管を流れる血液が歯に大切な栄養を届けるという重要な役割があります。

歯の神経を取るということは、神経だけでなく血管も同時に失うことになり、その結果、歯には栄養が届かず、その歯は脆く弱くなってしまいます。

弱くなってしまった歯は、日常生活の「噛む」「くいしばる」などの負担に耐えることができないため、歯が破折してしまうリスクが上がってしまいます。

また、歯ぎしり・くいしばりのほか、咬み合わせに問題がある場合も歯根破折のリスクは上がってしまうため、就寝時のマウスピースの活用が効果的な場合もあります。

歯根破折から歯を守るためにも、歯を守ための歯磨きと定期検診によって、歯とお口の環境を正しく維持していくことが大切です。

2022.11月号vol.92

変わってしまった食習慣

上の画像は、アニメ「サザエさん」の食事シーンですが、現代の食事とは少し違っています。

サザエさんの食事シーンでは「お水」が食卓に置かれていません。

現代の食事では、外食の接客サービスなどの影響により、食卓にお水はセットになりましたが、サザエさんの放送が開始した昭和44年には、まだ食事とお水をセットにする風習はなかったようです。

現代の食事では、水で食べのもの流し込む食べ方が多くなっているほか、柔らかい食材や料理も一般的になったことで、噛む回数を減らしてしまう傾向があります。

現代の食習慣は、だ液の分泌の低下だけではなく、顎(あご)の発育にも影響により歯並びが悪くなることもあります。

だ液には、消化機能の促進・自浄作用力・抗菌作用・歯の再石灰化促進などの効果があります。

食事中は、食べ物を噛むことでだ液が分泌されるため、「流し込む」ではなく、「しっかり噛んで飲み込む」食習慣にすることで、お口の正しい発育と健康に繋げることが出来ます。

2022.10月号vol.91

むし歯再発リスクを抑え歯の寿命を守る

先月号の「栄machi通信9月号vol.90」では、むし歯治療で銀歯にした歯は、治療を受けてから5~7年後には、銀歯の下にむし歯が再発している場合が多いことをお伝えしました。

5~7年後というのは、平均的な年数のため、もっと早くにむし歯が再発しているケースもあります。

また、むし歯が再発してしまったときには、再び治療を受けることになりますが、銀歯で再治療をした歯は、5~7年も持たずに再びむし歯になる可能性が高くなります。

治療を繰り返すたびに再発期間が短くなる原因は、治療で歯を削ることで歯が脆くなっていくことや、加齢などがあげられます。

むし歯の治療法として一般的な銀歯ですが、治療と再発を繰り返していくことで、最終的には歯を失ってしまう結果となってしまいます。

一方、セラミックでむし歯治療を受けた歯は、仮に10年後に割れてしまったなどの原因によって、セラミックを取り外しても、むし歯が再発しているのは非常に稀なケースになります。

むし歯になってしまった際は、治療が必要ですが、どのような治療法を選択するかも大切になります。

2022.10月号vol.91

残存歯数と医療費の関係

口腔健康と全身健康には大きな関係があることはご存知でしょうか?

その関係のデータが「残っている歯の数」と「生涯医療費」にも現れています。

噛むという口腔機能は、全身の健康につながる重要な役割を持っています。

多くの歯が残っていると、食事を飲み込むための嚥下(えんげ)機能も正常に働きますが、多くの歯を失い嚥下機能が正常に働かないと、痰(たん)やお口の細菌などが肺に入り込み誤嚥性肺炎を引き起こしてしまう場合もあります。

また、歯を失うことで、食事に制限が出ることも健康に影響を与えてしまう要因になります。

今ある歯やお口の健康を守るためには、毎日の正しい歯磨きと歯科医院で定期的にお口のメンテナンスを受けることが大切です。

また、むし歯などの治療は早期に受けることで、軽度な治療で終えることができるため、歯を失うリスクを大きく軽減することができます。

2022.10月号vol.91

歯科健診の義務化!?

今年の5月末から6月上旬にかけて、一部メディアによる「全国民に毎年の歯科健診を義務づける」という言葉が報道され、賛否両論の反応があったと聞きます。

6月7日に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針2022』の第4章の中で、「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討」という一文が「歯科健診を義務化」となって報道されましたが、実際は「義務化」は明記されていません。

今のところは、企業などの定期健康診断に歯科健診を加えるなど、全国民が年1回の歯科健診を受けたり、受けやすくするための整備をしていくという段階のようです。

むし歯や歯周病などで、歯を失うと咀嚼(噛む)機能や嚥下(飲み込む)機能が低下し、偏った食生活から健康を損なうリスクが上がってしまいます。

また、歯周病は、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病、誤嚥性肺炎などの大きな疾患の要因にもなります。

「歯科健診の義務化」にはならなくても、一人ひとりの国民が口腔健康への意識を持つことで生涯の健康維持につながることを期待しています。

2022.9月号vol.90

むし歯治療は銀歯?それともセラミック?

多くの方が、これまで一度はむし歯治療の経験があると思います。

過去のむし歯治療では、どのような治療を受けたでしょうか?

むし歯治療を受けた歯には、プラスチック素材の詰め物や、銀歯やセラミックの被せ物がついています。

プラスチック素材の被せ物は、小さなむし歯治療で使う素材で、白く目立ちにくいのが特徴ですが、材料が安定せず大きなむし歯治療では推奨されません。

大きなむし歯治療の場合は、保険適用の銀歯か保険適用外のセラミック素材での被せ物になります。

銀歯そのものは壊れにくい高い強度がありますが、その高い強度のせいで噛み合わせの力がそのまま歯の根まで伝わることで、歯が割れてしまう場合があります。

セラミック素材は、本来の歯と同程度の強度と、自然な歯を再現できる美しさがあります。

では、銀歯とセラミックでは、治療後の歯にどのような影響があるのでしょう?

右ページで詳しくお伝えしますので、今後の治療法の選択に参考にしていただければと思います。

2022.9月号vol.90

再発リスクを抑えるむし歯治療

銀歯のむし歯治療を受けた場合、その耐用年数は平均5~7年という調査結果がありますが、これは耐用年数を過ぎると銀歯が割れるなど壊れてしまう訳ではありません。

歯と全く異なる素材の銀歯(金属)を装着するため、治療後5~7年以内には歯と銀歯に隙間が生じ、その隙間から細菌が侵入することで、再治療が必要になることが耐用年数とされています。

セラミック素材は、最も歯に近い素材であり、特殊な接着システムも可能になることから、耐用年数は約10年と言われます。

保険が適用され安価に治療を受けられる銀歯が5~7年に対し、保険外治療のセラミック素材は10年の耐用年数と聞くと、セラミック素材のメリットは少なく感じる方も多いと思います。

しかし、むし歯治療は、むし歯菌によって歯の腐ってしまった部分を削り取るため、治療のたびに歯は小さくなってしまいます。

また、5年ほど経過した銀歯を外すとほとんどの場合、銀歯の下は大きなむし歯になっており、再治療をしても最初の治療のときよりも早くむし歯が再発するため、歯の寿命が短くなる可能性があります。

全てのケースでセラミックが最善とは限りませんが、むし歯を繰り返さないための治療法を選択することが大切です。